夫が妻の実印で勝手に借金したものは?@
実印というのは、社会通念上大切なものといえます。
なので、契約書に実印を押して
印鑑証明書を添付していると、
「自分は押していない」
とか
「何も考えずに印鑑を押した」
と言っても
なかなか認めてもらえませんし、
責任を免れることはとても困難です。
夫が妻の実印で勝手に借金したものは?A
しかしながら、それは
それぞれが別々に生活している場合になります。
一緒に生活している夫婦の場合には、
実印を持ち出すことも、印鑑証明書をとることも
比較的簡単にできてしまうからです。
これは、実印を押しているというだけで、
配偶者が保証人になるということを承知していると安易に信じた、
債権者側にも落ち度があるといえます。
判例はどうなっていますか?
夫婦ではないのですが、
子供が勝手に親の実印を持ち出して
親を保証人とした事例では、次のようになっています。
⇒ 「子が血縁の緊密さを悪用して、自己の利益を図る目的で親の実印を使用し、親の代理人として行動することはしばしば見られることであるから、貸す側は実印と印鑑証明書を差し入れたというだけで代理権があると信じたのはいささか軽率である」
このように、判例では
親の保証責任を否定しているものもあります。
とはいえ、夫婦であれば
実印を勝手に使われても
常に責任が生じないとはいいきれません。
夫がそれまで何度か妻の実印を勝手に使っていて、
それを妻も認めていたようなケースでは、
仮に問題となった契約については承知していなかったとしても、
表見代理が成立し、妻が責任を負うこともあると思われます。
よって、個々の具体的事例によって
ケース・バイ・ケースということになります。
要は、実印を押しているからといって、
常に責任を追うわけではありませんから、
諦めることはないということです。